アモジメチコン
アモジメチコンとは
アモジメチコンはジメチコンの末端をアミノエチルやアミノプロピルなどのアミノ基で修飾したアミノ変性シリコーンオイルです。
ジメチコンはポリジメチルシロキサン(PDMS)とも呼ばれる一般的なシリコーンオイルで、耐熱性、耐寒性、耐酸化性、耐候性、耐水性、はっ水性、消泡性、潤滑性など多くの特性があります。ジメチコンのメチル基の一部を有機官能基に置き換えることで、シリコーンオイルの特性を活かしつつ更にユニークな性質を付加することができます(1)。
アミノ変性シリコーンオイルは、アミノ基の持つ吸着特性を活かして、繊維処理剤、毛髪処理剤、艶出し剤、樹脂改良剤等、幅広い分野で使用されています(1)。
アミノ変性シリコーンオイルに分類されるもので特に化粧品に使用されるものとしては、アミノプロピルジメチコンやアモジメチコンがあります。アミノ変性シリコーンオイルは毛髪をしなやかに保ちツヤを与える効果があることから、ヘアトリートメントやヘアマスクなどコンディショニング効果の高いヘアケア化粧品の多くに配合されています(2)。
近年ではパーマ、カラーリング、熱や紫外線等の影響により消費者の毛髪表面は大きなダメージを受けています。特に髪の色を自由に変えて楽しむヘアスタイルの定着により、カラーリングが毛髪のダメージの主要因となっています。カラーリングの中でも特に脱色時の酸化処理が毛髪の表面を痛めることが知られています(2)。
カラーリングによってダメージを受けた毛髪は、表面の脂質層に穴が開いて親水部が露出し表面動摩擦が増加するため、髪同士が絡まりやすくなります。毛髪がダメージを受けるとシャンプー時の指通りや洗い後の櫛通りが悪くなるのはこのためです。通常のシリコーンオイルは傷んだ毛髪表面に吸着しにくいことから、毛髪への吸着力を向上させたアミノ変性シリコーンが注目されるようになりました(4)。
アモジメチコンは塩基性のアミノ基を有しているため、ケラチンタンパク質との相性がよく、特に傷んだ毛髪の親水部に効果的に吸着する特性があります。髪表面をより平滑に疎水化できるため、濡れた時や乾燥時の毛髪間の摩擦を抑えて、滑らかでしっとりとした柔らかい感触の髪に仕上げることができます。
日本語名:アモジメチコン、アミノ変性シリコーン 英語名:Amodimethicone、Amino-modified silicone
参考文献
(1). ダウ・東レ株式会社(2021)「有機変性シリコーンオイル 製品カタログ」https://www.dow.com/documents/ja-jp/catalog-selection-guide/26-2291-42-organo-modified-silicone.pdf 2021年10月13日アクセス
(2). 宇山 光男, 他 (2015)「アモジメチコン」化粧品成分ガイド 第6版, 57
(3). 資生堂株式会社 (2005)「新規ヘアコンディショニング成分「メモリーキューティクル成分」を開発」, https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000000545/545_p5e59_jp.pdf 2021年10月15日アクセス.
(4). 鈴木正人 (2007)「第7章 シャンプー、リンス、コンディショナー、第8章 ヘアトリートメント」機能性化粧品の開発Ⅲ, 54-67
アモジメチコンの化粧品配合目的
潤滑性付与によるヘアコンディショニング作用
アモジメチコンの安全性情報
Cosmetic Ingredient Review (2003)「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone, Dimethicone, Methicone, Amino Bispropyl Dimethicone, Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate, Behenoxy Dimethicone, C24–28 Alkyl Methicone, C30–45 Alkyl Methicone, C30–45 Alkyl Dimethicone, Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone, Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone, Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone, Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone, Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone1」International Journal of Toxicology 22 (Supplement 2), 11-35
アモジメチコンに関する日本語の参考論文
なし
アモジメチコンに関する英語の参考論文
Nair B, et al. Int J Toxicol. 2003. PMID: 14555417 Review.
Miyamoto T, et al. Langmuir. 2019. PMID: 31656076
Optical properties of hair: effect of treatments on luster as quantified by image analysis.
McMullen R, et al. J Cosmet Sci. 2003. PMID: 14528387