レイシエキス/GANODERMA LUCIDUM EXTRACT
レイシエキスとは
レイシエキスは、マンネンタケ Ganoderma lucidum のエキスで、成分番号は552748、表示名称はレイシエキスです。
医薬部外品原料規格では、「レイシエキス」英名:Ganoderma Extractとして収載され、「本品は,マンネンタケ Ganoderma lucidum (Curtis) P.Karst.(Ganodermataceae)の子実体から水にて抽出して得られるエキスである」と規定されています。
医薬部外品原料規格には、他に、「レイシ培養液エキス」英名:Ganoderma Culture Solution Extractも規定されています。
レイシは、サルノコシカケ科Polyporaceaeの菌体で脂肪酸、単糖類、多糖類、トリテルペノイドを含み、中国の薬局方にあたる薬典に収載されています。
中国医学では、強壮鎮静薬として神経衰弱や不眠,消化不良,老人性気管支炎の咳嗽などの慢性病に応用されます。
日本では民間薬として使用されています。
厚生労働省は、「霊芝(胞子(胞子油))及び 霊芝(胞子(破壁胞子粉)については、「判断基準」に該当する項目がなく、安全性についても問題があるとは考えられないことから、医薬品的効能効果を標榜しない限り専ら医薬品と判断しない成分本質とする。」としています(3)。
以前は、幻のキノコとも呼ばれていたレイシですが、近年、日本全国で栽培されています。
レイシエキスの配合目的
・消炎保湿作用
・抗酸化作用による老化防止
・美白作用
働きと用途
レイシエキスは、医薬品的効能効果を標榜しない限り専ら医薬品と判断しない成分ですので、化粧品分野での使用に関しては、効果については直接的な表現は用いられません。
消炎効果、保湿効果に優れ、乾燥から肌を守る化粧品に配合されます。細胞活性作用があり、アンチエイジングのための製品に配合されます。基礎化粧品や美容液、育毛剤などに使われます(4)。
近年、天然レイシには抗酸化作用、皮膚抗老化作用及び抗アレルギー作用が示され、また一方、人工栽培されたレイシ(栽培レイシ)には抗酸化作用、美白作用及び抗皮膚老化作用をそれぞれ有することが明らかとなっています(5)。
また、レイシには幹細胞の活性化や、肌の老化を防ぐ働きがあると発見されています(6)(7)。
参考文献
(1) 日本化粧品工業連合会 レイシエキス 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知
(2) 医薬部外品原料規格 レイシエキス
(3)「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の一部改正について 薬 食 発 0 4 0 1 第 2 号 平 成 2 7 年 4 月 1 日
(4) 化粧品成分用語辞典 2012 レイシエキス
(5) CiNii 論文 - 天然糖質の化粧品・機能性食品素材としての有用性
(6) メナード、霊芝エキスに幹細胞を活性化する効果を発見 粧業日報 2019年9月17日号 4ページ
(7) メナード化粧品が霊芝に肌の老化を防ぐ効果を発見 「日刊工業新聞」2015年7月15日掲載
レイシエキスの安全性情報
レイシには抗アレルギー作用が認められています。
(1)より、皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。
(2)より、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
(1)有限会社野々川商事(1983)「化粧料」特開昭58-113118.
(2)医薬部外品原料規格2021
レイシエキスに関する日本語の論文情報
レイシエキス含有食品の下部尿路排尿障害を有する中高年男性に対する過剰摂取時の安全性試験
野口 正典 , 角間 辰之 , 富安 克郎 , 名切 信 , 山田 亮 , 伊東 恭悟 , 小西 史子 , 中嶋 裕也 , 隈本 正一郎 , 清水 邦義 , 近藤 隆一郎 , 松岡 啓 応用薬理 75(1), 13-17, 2008-08-29 医中誌Web
**マンネンタケ(Ganoderma lucidum)子実体(鹿角霊芝)由来メラニン合成抑制物質**畠 恵司 , 堀 一之 , 三浦 直子 [他]秋田県総合食品研究所報告 (4), 124-127, 2002
マンネンタケ(Ganoderma lucidum)子実体(鹿角霊芝)由来メラニン合成抑制物質 畠 恵司 , 堀 一之 , 三浦 直子 [他] , 坂元 賢二 , 高橋 砂織 Natural medicines = 生薬學雜誌 55(6), 304-307, 2001-12-20 国立国会図書館デジタルコレクション 医中誌Web 参考文献11件 被引用文献3件
村井 義洋 食品・食品添加物研究誌 (179), 29-37, 1999-01
マンネンタケの子実体形成にともなう子実体およびその構成部位のトリテルペン類含有率の変化
高畠 幸司 富山県林業技術センタ-研究報告 (11), 1-6, 1998-03 日本農学文献記事索引
74(PB2-4) マンネンタケ(Ganoderma lucidum)の産生するトリテルペノイド成分(ポスター発表の部)
西鳥羽 剛 , 佐藤 博二 , 坂村 貞雄 天然有機化合物討論会講演要旨集 29(0), 560-567, 1987 J-STAGE
マンネンタケ(霊芝)の薬効と食効 制がん性多糖と苦味テルペノイド:制癌性多糖と苦味テルペノイド
水野 卓 , 坂村 貞雄
化学と生物 23(12), 797-802, 1985 J-STAGE 医中誌Web
鵜飼 茂夫 , 木方 正 , 原 千尋 , 森田 真寿行 , 後藤 新 , 今泉 尚美 , 長谷川 嘉成岐阜藥科大學紀要 33, 40, 1984-06-15
**制がん性多糖類に関する研究 VII マンネンタケ(霊芝)の水溶性多糖類の分画,構造,抗しゅよう活性について**水野 卓 [他] , 加藤 尚美 , 戸塚 篤史 , 竹中 一秀 , 新海 健吉 , 清水 雅子 日本農芸化学会誌 58(9), 871-880, 1984 J-STAGE 医中誌Web
<研究論文抄録>マンネンタケ(Ganoderma japonicum LLOYD)子実体から得られたアルカリ可溶性多糖の構造について
鵜飼 茂夫 , 横山 俊二 , 原 千尋 , 木方 正 , ウカイ シゲオ , ヨコヤマ シュンジ , ハラ チヒロ , キホウ タダシ , SHIGEO UKAI , SHUNJI YOKOYAMA , CHIHIRO HARA , TADASHI KIHO 岐阜藥科大學紀要 = The annual proceedings of Gifu College of Pharmacy (32), 31, 1983-06-03 機関リポジトリ
**<研究論文抄録>マンネンタケ(Ganoderma japonicum LLOYD)子実体から得られたアルカリ可溶性多糖の構造について**鵜飼 茂夫 , 横山 俊二 , 原 千尋 , 木方 正 岐阜藥科大學紀要 32, 31, 1983-06-03
レイシエキスに関する英語の論文情報
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