ラウロイルサルコシンイソプロピル/ISOPROPYL LAUROYL SARCOSINATE
ラウロイルサルコシンイソプロピルとは
ラウロイルサルコシンイソプロピルは、成分番号 555758、INCI名 Isopropyl Lauroyl Sarcosinateで、ラウロイルサルコシンとイソプロパノールのエステルで、次の化学式で表されると定義されます(1)。
ラウロイルサルコシンイソプロピルは、界面活性剤と油の中間領域に位置する物質であり、難溶性とされる素材との高い相溶性があり、 無機性の顔料を良好に分散できる物質です(2)。
合成で得られ、21世紀になって活用され始めました。
働きと用途
ラウロイルサルコシンイソプロピルは、難溶性とされる物質を特別な剤型を必要とせずに溶解し、軽い感触に仕上げることができます。
例えば、ɤ-オリザノールやセラミド、UVAに吸収がありサンスクリーンに配合されるオキシベンゾン-3やt-ブチルメトキシベンゾイルメタン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチルなどを溶解し製剤化されるのに使われます(3)。
また、ラウロイルサルコシンイソプロピルは、肌荒れや毛髪の修復の回復効果も期待でき、処方設計の自由度を広げることができます。
ラウロイルサルコシンイソプロピルの配合目的
- 難溶性成分溶解
- 無機顔料の分散性向上
ラウロイルサルコシンイソプロピルは、化粧水、ローション、乳液、サンスクリーン、シャンプー、リンス、トリートメントなどに活用されています(2)(3)(4)
ラウロイルサルコシンイソプロピルの安全性情報
https://www.cir-safety.org/sites/default/files/sarcos032016TAR.pdf
(1)より、わずかな皮膚刺激が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。(1)より、わずかな眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。 (1)より、皮膚感作なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
(1)National Industrial Chemicals Notification and Assessment Schemeの安全性試験データ
ラウロイルサルコシンイソプロピルを含む製品について、接触性アレルギーの報告があります。しかし原因物質は、原因は明確ではありません。
また、動物実験でアレルギーの報告はなく、化粧品に使用される濃度では安全であると推察されます(5)(6)。
参考文献
(1) 日本化粧品工業連合会 ラウロイルサルコシンイソプロピル 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知
(2) アシルアミノ酸エステルの機能と応用 石井 博治 味の素(株) 化成品部 香粧品素材グループAjinomoto Co. オレオサイエンス/4 巻 (2004) 3 号
(3) 新規なエモリエント剤(ラウロイルサルコシンイソプロピル)の持つ高度な溶解性とサンスクリーン処方への応用…味の素 海外食品・アミノ酸カンパニー アミノサイエンス研究所 中西紀元FRAGRANCE JOURNAL 2002/6月号 No.260(Vol.30/No.6)
(4) エモリエント剤|化粧品|製品・サービス|AHS 味の素ヘルシーサプライ株式会社 (ajinomoto.com) Copyright © AJINOMOTO HEALTHY SUPPLY CO., INC. All Rights Reserved. 味の素ヘルシーサプライ株式会社
(5) National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme(2016)「Glycine, N-methyl-N-(1-oxododecyl)-, 1-methylethyl ester」Public Report.
(6) Isopropyl lauroyl sarcosinate | C18H35NO3 - PubChem (nih.gov)
ラウロイルサルコシンイソプロピルに関する日本語の論文情報
石井 博治 オレオサイエンス = / Japan oil chemists' society 4(3), 97-103, 2004-03-01 J-STAGE 参考文献24件
新規なエモリエント剤(ラウロイルサルコシンイソプロピル)の持つ高度な溶解性とサンスクリーン処方への応用 (特集/香粧品の新原料・新技術)
中西 紀元 フレグランスジャーナル 30(6), 43-48, 2002-06
高野 三郎 , 長谷川 忠男 , 鈴木 隆雄 , 鍵渡 徳次 , 中村 重正 , 向 秀夫
日本醗酵工学会大会講演要旨集 昭和52年度, 111-112, 1977
ラウロイルサルコシンイソプロピルに関する英語の論文情報
Allergic contact dermatitis caused by isopropyl lauroyl sarcosinate.
Numata T, et al. Contact Dermatitis. 2019.PMID: 30238468
Allergic contact dermatitis to isopropyl lauroyl sarcosinate.
Badaoui A, et al. Contact Dermatitis. 2021.PMID: 33598956
L'alloret F, et al. Dermatol Ther (Heidelb). 2012. PMID: 23205327
Solubilization of Polar Oils in Surfactant Self-Organized Structures.
Kunieda H, et al. J Colloid Interface Sci. 2001.PMID: 11254331