ユビキノン/UBIQUINONE|化粧品全成分|INGREBANK

ユビキノン(コエンザイムQ10)とは

ユビキノンは、成分番号 557116、INCI名 Ubiquinoneであり、本品は、次の化学式で表される芳香族ケトンであると定義されます。

日本薬局方には、「ユビデカレノン」英名：Ubidecarenone として収載されています。

ユビキノンは黄色～橙色の結晶性の粉末で、ジエチルエーテルに溶けやすく，エタノール(99.5)に極めて溶けにくくｌ水にほとんど溶けません。

光によって徐々に分解し、着色します。また、融点は約48℃です。

ユビキノンは、コハク酸脱水素酵素活性に関与する補酵素で、コエンザイムＱ10とも呼ばれます。

ミトコンドリアの電子伝達系には、コハク酸脱水素酵素が関与し、TCA回路および電子伝達系酵素複合体で役割を果たします。

医療分野では、心疾患時に、ユビキノンの低下を補って、虚血下の酸素利用の改善や低下したＡＴＰ合成能の改善がみられることがわかっています。

薬効分類では、代謝性強心剤に分類されています。

平成16年までユビキノンは化粧品には配合できない成分でしたが、平成16年10月1日　薬食発第1001026号により、新たに、ユビデカレノン（ユビキノン）は、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの。及び、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものにおいて100g中の最大配合量として0.03gまで配合できるようになりました(4)。

ユビキノン(コエンザイムQ10)の配合目的

保湿剤
細胞を若々しく保つ

働きと用途

ユビキノンは体内で合成される物質です。しかし老化に伴って、皮膚をはじめ、体内の組織内での濃度は減少します。

そのことにより、TCA回路や電子伝達系酵素複合体のエネルギー連鎖に遅延が生じ、体内のエネルギーの産生が遅延します。これが老化の原因の一つであると推察されています。

ユビキノンは、体内で不足しているユビキノンを補い、肌を若く保つといわれています(5)(6)(7)(8)。

また、ユビキノンには、角層水分量増加による保湿作用が認められています(6)。

化粧品には、ローション、乳液、クリーム、パックなどに使用されています。

参考文献

(1) 日本化粧品工業連合会　ユビキノン　平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・麻薬対策課長通知

(2) 第十八改正日本薬局方　ユビデカレノン

(3) インタビューフォーム　ユビデカレノン　PMDA　独立行政法人医薬品医療機器総合機構

(4)化粧品基準の一部を改正する件について　平成16年10月1日　薬食発第1001026号　各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知

(5) コエンザイムQ10について　薬剤学VoL66，No．6（2006）渡部　一夫　Kazuo Watabe　株式会社資生堂　H＆BC開発センターヘルスケア研究所

(6) コエンザイムＱ10の皮膚科学的効用　市橋正光　 FRAGRANCE JOURNAL 2005/8月号 No.300（Vol.33/No.8)

(7) 美容成分としてのコエンザイムQ10 渡部一夫　FRAGRANCE JOURNAL 2005/8月号 No.300（Vol.33/No.8)

(8) 臨床皮膚科 60巻5号（2006年4月）特集最近のトピックス 2006　Clinical Dermatology 2006　5. 皮膚科医のための臨床トピックス　コエンザイムQ10(CoQ10)　山本順寛 pp.160-162　発行日 2006年4月1日

ユビキノン(コエンザイムQ10)の安全性情報

https://www.cir-safety.org/sites/default/files/Ubiquinone.pdf

ユビキノンは、体内で生成するビタミン用物質です。化粧品分野への使用では、安全性に問題のないことが報告されています(5)。

しかし、発疹などのアレルギー反応が起きる可能性は残されているため、パッチテストを事前に行ってから使用する必要があります(3)。

ユビキノン(コエンザイムQ10)に関する日本語の論文情報

低酸素環境下での<i>Melaleuca cajuputi</i>の根におけるユビキノンの酸化還元状態

山ノ下卓 , 則定真利子 , 小島克己日本森林学会大会発表データベース 130(0), 612, 2019 J-STAGE

ユビキノン生合成に関与する酵素UbiAスーパーファミリーの結晶構造解析

廣田佳久 , 野田誠司 , 西田恵里 , 北村幸大 , 原田均 , 須原義智 , 岡野登志夫ビタミン 89(12), 579-582, 2015 J-STAGE 医中誌Web

A204 キナゾリン型阻害剤を用いたミトコンドリアNADH-ユビキノン酸化還元酵素(複合体-I)のドメイン間相互作用の解明(作用機構抵抗性,一般講演要旨)

村井正俊 , 真下佑子 , Hirst Judy , 三芳秀人講演要旨集 (38), 62, 2013-03-14

長期間の食品摂取量の違いが運動能力や酸化ストレス防御系におよぼす影響

丸岡弘 , 小牧宏一 , 藤井健志 , 木戸聡史 , 井上和久理学療法学Supplement 2012(0), 48100068-48100068, 2013 J-STAGE

最新ビタミン学講話 : ビタミン発見100周年を記念して(16)ユビキノン

岡本正志 , 髙橋隆幸 , 奥野正顕 Functional food : フードサイエンスと臨床をつなぐ専門誌 6(1), 56-62, 2012 医中誌Web

ビタミン関係ユビキノン(コエンザイムQ) (広範囲血液・尿化学検査免疫学的検査(第7版・2)その数値をどう読むか) -- (生化学的検査(2))

伊藤機一 , 簗瀬澄乃 , 野崎司日本臨床 68(-), 211-214, 2010-01 医中誌Web

evidence seminar ビタミン様作用物質と生活習慣病(Contents.4)ユビキノン(コエンザイムQ)(その3)

糸川嘉則食生活 102(8), 52-55, 2008-08 医中誌Web

P-7-06　成人期にミトコンドリア病と確定診断できた重症心身障害者の一例

石原万理子 , 佐々木彩恵子 , 森篤志 , 森未央子 , 藤井達哉

日本重症心身障害学会誌 44(2), 447-447, 2019J-STAGE 医中誌Web

コエンザイムQ10摂取が高齢女性の皮膚ガス中の加齢臭成分ノネナールに与える影響

勝山雅子 , 久田裕美子日本補完代替医療学会誌 14(1), 17-22, 2017 J-STAGE 医中誌Web

A Clinical View 犬・猫の皮膚炎におけるコエンザイムQ10の有用性の検討

小野祐新 , 阪本浩和 , 藤井健志 Small animal dermatology 2(2), 104-108, 2011-03 医中誌Web

コエンザイムQ10による皮膚老化・光老化の改善・予防効果 (特集皮膚老化と機能性食品)

山本順寛 Functional food : フードサイエンスと臨床をつなぐ専門誌 2(4), 412-415, 2009 医中誌Web

ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いたコエンザイムＱ１０可溶化製剤の開発と化粧料への応用

福原寛央 , 大内輝彦 , 鎌田勉 , 井上和郎 , 辻さやか , 岩永哲朗日本化粧品技術者会誌 42(4), 297-304, 2008 J-STAGE

コエンザイムQ10(CoQ10) (特集最近のトピックス2006 Clinical Dermatology 2006) -- (皮膚科医のための臨床トピックス)

山本順寛臨床皮膚科 60(5), 160-162, 2006-04 医中誌Web

コエンザイムQ10の皮膚科学的効用 (特集/コエンザイムQ10,α-リポ酸の効果を探る)

市橋正光フレグランスジャーナル 33(8), 40-45, 2005-08 医中誌Web

ユビキノン(コエンザイムQ10)に関する英語の論文情報

Biological and pharmacological activities of squalene and related compounds: potential uses in cosmetic dermatology.

Huang ZR, et al. Molecules. 2009.PMID: 19169201 Free PMC article. Review.

Substances related to squalene, including

Strawberry-Based CosmeticFormulations Protect Human Dermal Fibroblasts against UVA-Induced Damage.

Gasparrini M, et al. Nutrients. 2017.PMID: 28613256 Free PMC article.

Allergic contact dermatitis to hydroxydecyl ubiquinone(idebenone) following application of anti-ageing cosmetic cream.

Mc Aleer MA, et al. Contact Dermatitis. 2008.PMID: 18759903 No abstract available.

Effects of a Combination of Water-Soluble CoenzymeQ10 and Collagen on Skin Parameters and Condition:Results of a Randomised, Placebo-Controlled,Double-Blind Study.

Žmitek K, et al. Nutrients. 2020.PMID: 32120787 Free PMC article.

The effect of dietary intake of coenzyme Q10 on skin parameters and condition: Results of a randomised, placebo-controlled, double-blind study.

Žmitek K, et al. Biofactors. 2017.PMID: 27548886 Clinical Trial.

Topical treatment with coenzyme Q10-containing formulas improves skin's Q10 level and provides antioxidative effects.

Knott A, et al. Biofactors. 2015.PMID: 26648450 Free PMC article.

An Open Label Clinical Trial to Evaluate the Efficacy and Tolerance of a Retinol and Vitamin C Facial Regimen in Women With Mild-to-Moderate Hyperpigmentation and Photodamaged Facial Skin.

Herndon JH Jr, et al. J Drugs Dermatol. 2016.PMID: 27050703 Clinical Trial.

Microphthalmia with Linear SkinDefects Syndrome.

Morleo M, et al. 2009 Jun 18 [updated 2018 Jul 26]. In: Adam MP, Ardinger HH, Pagon RA, Wallace SE, Bean LJH, Mirzaa G, Amemiya A, editors. GeneReviews® [Internet]. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993–2021. PMID: 20301767Free Books & Documents. Review.

Role of Vitamins in Skin Health: a Systematic Review.

Dattola A, et al. Curr Nutr Rep. 2020.PMID: 32602055

Investigation of ex vivo SkinPenetration of Coenzyme Q10 from Microemulsions and Hydrophilic Cream.

Tessema EN, et al. Skin Pharmacol Physiol. 2020. PMID: 33212439 Free PMC article.

Human cultured skin fibroblasts survive profound inherited ubiquinone depletion.

Geromel V, et al. Free Radic Res. 2001.PMID: 11697113

Coenzyme Q(10) Sunscreen Prevents Progression of Ultraviolet-Induced Skin Damage in Mice.

Wu H, et al. Biomed Res Int. 2020.PMID: 32923487 Free PMC article.

Coenzyme Q10 Efficacy Test for Human Skin Equivalents Using a Pumpless Skin-On-A-Chip System.

Kim J, et al. Int J Mol Sci. 2020.PMID: 33187177 Free PMC article.

Antioxidants and skin care: the essentials.

Graf J. Plast Reconstr Surg. 2010.PMID: 20048629 Review.