メチルグルセス-10/METHYL GLUCETH-10
メチルグルセス-10とは
メチルグルセス-10は、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテルであり、次の化学式で表されます(n=10)。化粧品成分番号は552428、INCI名は Methyl Gluceth-10 です。
医薬部外品原料規格には、「ポリオキシエチレンメチルグルコシド」英名:Polyoxyethylene Methyl Glucosideとして収載sされています。
医薬部外品原料規格の定義では 、「本品は,メチルグルコシドに酸化エチレンを付加重合したものである.酸化エチレンの平均付加モル数は 10~20 である」と規定されます。
このうち平均付加モル数が10のものが、メチルグルセス-10と称されます。水酸基価は、335~375となっています(参考値)(2)。
メチルグルセス-10は、メチルグルコースのヒドロキシ基(-OH)に水溶性保水剤であるPEGが10個結合した構造をもちます。
トウモロコシのグルコース由来の非イオン界面活性剤であり、植物油、エステル油などに対し優れた乳化力を示します。
また、NMF(天然保湿因子Natural Moisturizing Factor)に似た構造をもっています。
メチルグルセス-10の配合目的
・保湿剤
・コンディショニング効果
・粘度調整剤
他の保湿剤と比較して吸湿性は高くないものの、水溶性の皮膜感を持つ、さっぱりした使用感を持つ保湿剤です。
また、NMF(天然保湿因子Natural Moisturizing Factor)に似た構造をもっていて保湿効果、コンディショニング効果があります。べたつきが少なく肌になじみやすい化粧品成分です。
保湿効果、コンディショニング効果があり、皮膚コンディショニング剤、保湿剤、粘度調整剤としてシャンプー、リンス、化粧石けん、化粧水、クリーム、アイシャドウ、ファンデーション、頭髪用化粧品などに使用されます。
また、メチルグルセス-10を、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと組み合わせると、保湿性の向上が確認され、皮膚表面からの水分蒸散量を抑えて、保湿性に優れた化粧料を提供することができ、肌荒れ改善、肌荒れ防止に効果があることが特許として出願されています(5)。
参考文献
(1) 日本化粧品工業連合会 メチルグルセス-10 平成13年3月6日付医薬審発第163号・医薬監麻発第220号厚生労働省医薬局審査管理課長並びに同監視指導・ 麻薬対策課長通知
(2) 医薬部外品原料規格
(3) 宇山 侊男, 他(2020)「メチルグルセス類」化粧品成分ガイド 第7版,50.
(4) 化粧品成分用語辞典 メチルグルセス-10
(5) 株式会社ファンケル(2012)「化粧料」特開2012-106974.
(6) W. Johnson, et al(2016)「Safety Assessment of Methyl Glucose Polyethers and Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(2_suppl),12S-40S
メチルグルセス-10の安全性情報
https://www.cir-safety.org/sites/default/files/methyl_glucose_0.pdf
メチルグルセス-10は、その使用方法から、全身性の影響を及ぼすとは考えにくいこともあり、化粧品としての使用の範囲内で安全に使用できることが検証されています(6)。
メチルグルセス-10に関する日本語の論文情報
なし
メチルグルセス-10に関する英語の論文情報
Niemann N, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2021. PMID: 33248395 Review.
m6A RNA methylation impacts fate choices during skin morphogenesis.
Xi L, et al. Elife. 2020. PMID: 32845239Free PMC article.
Preoperative skin antiseptics for preventing surgical wound infections after clean surgery.
Dumville JC, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015. PMID: 25897764
Horvath S, et al. Aging (Albany NY). 2018.PMID: 30048243 Free PMC article.
Genetic basis for skin youthfulness.
Flood KS, et al. Clin Dermatol. 2019.PMID: 31345318 Review.
The impact of perceived stress on skin ageing.
Lee CM, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020. PMID: 31407395 Review.
Epigenetics of skin cancer: Interventions by selected bioactive phytochemicals.
Penta D, et al. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2018. PMID: 28976029 Review.
Current insights into the epigenetic mechanisms of skin cancer.
Sang Y, et al. Dermatol Ther. 2019.PMID: 31081988 Review.